環境で不況を吹き飛ばせるか〜動き出したグリーンニューディール〜

今日、NHK総合で、特集番組「 環境で不況を吹き飛ばせるか
〜動き出したグリーンニューディール〜」が放送されました。

世界的な金融恐慌を産み出したアメリカが、起死回生の手段として選んだのが、クリーンエネルギー事業。
その、国家戦略の紹介を柱に、番組は構成されていました。

番組の具体的な内容については割愛しますが、オバマ大統領演説にあった「スマート・グリット構想」。
従来の大規模発電所から消費地へ長距離の送電線を使って送電するのではなく、消費地、つまり住宅街でその地域での消費電力を太陽光、風力発電等によって近距離でまかなう、という考え方は、僕が日頃から周囲に話していることとまったく同じことでした。
シンプルに考えれば、至極当たり前のことです。
実に発電量の6割が、送電の際に失われているのです。つまり、最も効率の良い発電方法とは、消費地で必要な分を発電すること、なのです。

番組で紹介されていた、電気自動車のバッテリーに蓄積された電気を、地域の発電量が足りない場合に使用するという考えは目から鱗。

ちなみに、番組中でも紹介された、「発電方法別発電力割合」の円グラフ。
グラフ中では再生可能・新エネルギー等3%ほど、原子力3割、化石燃料約6割となっていますが、注意すべきは、「需要に対してどれだけ供給源として貢献しているのか」を現しているのではない、ということです。

例えば、原子力は需要に対して過剰に供給(夜間の余剰発電)しており、発電力=必要性(需要)ではないということです。

しかし、こういう場合の全体的な政策を進めるスピードというのはさすがアメリカ、日本とは違いますね。
番組後半では日本でのグリーンニューディール政策への各官庁の取り組みが紹介されていましたが、様々の障壁(日本独特の、縦割り行政。小泉/竹中構造改革って一体なんだったのか?)によって、技術は世界一なのにそれを全く生かしきれていない現状が浮き彫りにされていました。

もちろん、行政だけの問題ではありません。
各電力会社の利権問題もあります。
自分たちが売る電気よりも、買う価格が安いとはどういうことか。
それだけでなく、公共のインフラ整備との名目で様々な営業経費が私たちへの電気料金として転嫁されているのです!
例えば、未だ候補地も見つからない原発の最終産業廃棄物の処理費用は、既に20円ほどが普段の私たちの電気料金には含まれているのですよ。
エネルギー問題は、一企業の利益だけの問題ではないはずです。

テキサスの田舎町で、世界最大規模の風力発電会社を誘致し成功している例が紹介されていました。
気になったのは土地を提供した綿花栽培農家の談話。
「風の音が、お金の音に聞こえるよ」

環境ビジネスによって、現在のエネルギー問題が少しでも解決されることは喜ばしいことですが、人間の欲望の際限ない拡大がなくならない以上、いずれ新たな危機に直面することになるでしょう。

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