令和6年第4回(6月)綾町議会(定例会)一般質問(興梠議員)

R6年度の国民負担率は45.1%


水道インフラに係る費用負担の基本的な考えについて

興梠  水道インフラに係る費用負担の基本的な考えについて伺う。

 まず、議長にお願いがあります。この質問は、国の施策に関連するものですが、それに対してどうしてほしいというものではなくて、町民の利益に鑑みたときに、町としてそれに対してどう考え、対応していくかと伺うのが趣旨ですので、その点、ご理解いただきたい。

 憲法第25条では、国民には生存権があり、国家には生活保障の義務があるという意だ。一方で、平成に入ってからの新水道ビジョン推進協議会では、受益者負担という言葉が出現。しかし、憲法に鑑みれば、少なくともインフラに関わる費用の請求先は町民ではなく国であるべきではないか。

町長  水道事業の維持と施設の強靱化については、多額の財源が必要であり、人口減少による料金収入の減少は避けられず、水道施設整備費の所要額確保や補助制度の拡充・採択基準の拡大など、国の財源支援は必要不可欠だというふうに考えている。今議会閉会後に、国に対して水道施設更新に係る耐震化等に対する国庫補助金基準の緩和と拡充について要望することにしている。

 なお、この憲法第25条の生存権と国の具体的な義務については、昭和42年の最高裁判決がある。あくまでも国の努力目標の宣言であり、具体的な施策については裁量の余地が認められるという最高裁の判断が出ており、興梠議員の主張というのはこれに当たらないというふうに考えている。

興梠  その最高裁の判決について不勉強で知らなかったので、その裁量の余地というのは具体的にどういうものかご説明いただきたい。

町長  いわゆる予算の措置をして、必要なものがあればそれを支援するということである。その裁量で、今も国のほうは支援をしているので、全額を受益者負担にしているということではないということだ。

興梠 昭和25年に社会保障制度審議会というのが開かれ、社会保障制度に関する勧告がされている。ここで日本国憲法第25条が引き合いに出され、全て国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は全ての生活部面において社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上、維持・増進に務めなければならないと規定されている。これは、国民には生存権があり、国家には生活保障の義務があるという意である。これは我が国も世界の最も新しい民主主義の理念に立つことであって、これにより旧憲法に比べ国家の責任は著しく重くなったと言わねばならぬとされている。
 これは戦後すぐのことであり、こういう強い国の姿勢を打ち出したものであろうかとは思う。

 一方で、水道法第2条責務の2には、国は水道の基盤の強化に関する基本的かつ総合的な施策を策定し及びこれを推進するとともに、都道府県及び市町村並びに水道事業者及び水道用水供給事業者に対し、必要な技術的及び財政的な援助を行うよう努めなければならないとあります。

 さらに、第8章45条、国の特別な助成には、国は地方公共団体が水道施設の新設、増設もしくは改造または災害の復旧を行う場合には、これに必要な資金の融通またはそのあっせんに努めなければならないとある。この災害の復旧等、老朽化したインフラの刷新、あるいは耐震性の向上等と一体何が違うのか。国民の生存権を守るためには絶対必要という意味からすれば同じではないか。緊急性があろうがなかろうが、必要不可欠なものであることに違いはないと思うが。

町長  前にもお話ししたかと思うが、私は大学で憲法を専攻してきた。先ほど申し上げたとおり、今、興梠議員が言われたことこそ裁量権の余地があるということだ。

興梠  国の裁量の余地があるということだが、平成に入ってからだ。新水道ビジョン推進協議会というのが立ち上がり、そこで受益者負担という言葉が出現している。これが今後、水道料金の値上げにつながるような、町民負担をしなければならないという考えになっているのだろうが、かつて、国が責任を持って国民の生存権を守らなければならないとされていたものが、いつの間にか国民自らで守れという流れになってしまっている。

 社会保障制度には公衆衛生も含まれており、水道対策は厚生労働省の管轄だった。ところが令和6年4月1日、先般、国土交通省及び環境省に移管された。水道事業に対する国の対応は変わってきており。それは実際の事業を行う、主体となる自治体としては十分に注意すべきことではないかと私は考える。

 実際の業務を担う自治体としては、これまでとやることは変わらないと考えると思うが、管轄が変われば思想も変わるのは自明の理だ。水道事業自体のありようが変化してきたと捉えるべきだと思うが。

町長  あまり憲法議論をここでやっても始まらないし、これまでもそう申し上げてきたかと思う。昭和42年にはそういう判決が出ている。一定の裁量の余地があるということなので、それに対して全部を町民に負担をしろと言っているわけではないし、国のほうもそういうことをやれということを言っているわけではなくて、それは受益者負担ということも当然一定の考え方でいかなければこれは違う国になってしまうと思っている。

興梠  医療費の場合も応能負担と応益負担がある。医療費の場合は、使う人、使わない人が結構差があると思うが、水道など生存に関わるものというのは誰でも使うものだ。受益者負担というのは、使った量に応じて料金が当然変わるわけだから、それで受益者負担という考えでいいのでは。そのインフラに関わるものは国が負担して当然だと私は考えるが。

町長  先ほど申し上げたとおり、国に対しては必要に応じてちゃんと要望を行っていく。それに応じて、どういうような形で国がやっていくのかということは、繰り返しになるが、裁量の余地があるということであるから、そこは、全部が全部、いや国のほうにいくのはいうことをやっておけばいいという考え方でないということをしっかり理解した上で、指摘していただきたい。

興梠  私も、全てを国に負担してくれと言いたいわけではない。ただ、現状、国民負担が5割近い現状で、これ以上また負担が増えるのかと。それを町民に請求できるのかというところを私は考えている。

 この国の態度が町民の利益に本当になっているのか。そこは真剣に考えたほうがいいのではないか。

 平成25年3月に厚生労働省健康局より発表された新水道ビジョン第8章関係者の役割分担では、国の役割として、重点的な実現方法を推進させる具体的な国庫補助事業を展開し、国庫補助対象事業の重点化・集約化を図ることで施策体系を充実化する。将来的に、さらに必要となる水道施設の耐震化や更新に係る事業は優先的に推進すべき事業もあるため、効果的な対象事業の設定に配慮していくと謳われている。国はそれを実行すべきだ。

 これは、現在政府の新水道ビジョンポータルサイト──これは国交省のサイトにあり、新水道ビジョンの基本理念として誰でも見ることができる。しかし、管轄が変わったことで、将来的にいつの間にか変更されることもありうる。厚労省と国交省では方向性が違うからだ。

 少なくとも現状、国がインフラに関しては負担すべきとされているわけだから、インフラにかかる費用の請求先は町民でなく国であるべきではないかと思うが、それは国の裁量の余地があると。では、国は、国民がきちんと払えるような施策を行っているのか。実質賃金も下がる一方だ。国保税も上がる一方。これ以上どうやって負担するというのか。

町長  答弁の必要がないと考える。

議長  興梠議員、最初に説明をいただいたが、徐々に、町長は国のことに関しては回答できないと思うので、町の方向性に変えていただけるといいが。

 例えば、興梠議員がおっしゃりたいのが、町の水道料金が値上げすることに反対だということを言いたいのか、国云々が出てくるとなかなか難しい問題になってくると思うが、そこをもう少し分かりやすく質問していただければ。

興梠  現状、水道料金の値上げにはなかなか賛成しづらいというのが私の感想だ。

 国民生活調査によると、貧困線(統計上、それに満たない所得では世帯の生活を維持できない境界線に当る所得を表す指標)、直近の2021年に127万円。相対的貧困率が15.4%で、30年前より1.9ポイント高くなっている。様々な形で町民負担が増える中で、水道料金を値上げしますと、分かりましたというのがなかなか言いにくいところが正直なところだ。

 生活保護受給者数も、町でどの程度か把握できなかったが、平成27年3月をピークに一旦減少したが、直近では徐々に増えている。特に65歳以上の高齢者の受給者が増えている。2023年生活保護申請件数だけで13年以降で最多。こういった貧困層が増えている。そこに対する配慮というのが必要だ。

 先ほど、議会閉会後に陳情に伺うということだったので、ぜひその点をしっかりとお願いしていただきたい。

国民スポーツ大会、人員配置は

興梠 開催日程予定によると、馬術競技は令和9年9月7日より11日、サッカー競技が9月26日より29日、ハンドボール競技が9月30日より10月4日までとなっている。ほぼ一月が国スポ開会中期間となる。その間の役場職員及びボランティアの配置計画はどうなっているのか。

町長  日程について、9月26日から10月6日の案で固まりつつあるというふうに聞いている。ただ、個別競技の日程については未確定。

 今回の大会では、馬術が5日間、サッカーが4日間、ハンドボールが5日間、そういう開催予定という形になっていることは認識をしている。

 また、競技日数と公式練習日等合わせると、ご指摘のとおり1か月の開催というふうになる。期間中にいろんなことをやらなければいけない。

 先ほど橋本議員の質問の中でも答弁したが、基本的にいろいろなことが固まっていないという状況、今後それが具体化していく中で、できる限り労力を減らし、スリム化した国スポにできればいいと思っているので、現時点ではその後についてはお答えするということが不可能である。

興梠  以前いただいた資料では、馬術競技に関しては受入れの9月4日から11日まで、50から67名の職員配置の予定が示されていた。これは茨城県那珂市を参考にしたものであると説明を受けている。

 その那珂市では、大会本番では、ほぼ同数のボランティアも配置されており、多いときでは150人体制だ。町長は無駄を省いて、できるだけ人数も少なくできるんじゃないかとおっしゃられているが、さすがに半分にはならないと思うが、大体どのくらい減らせるものと考えているのか。

町長  減らせることができないという根拠を逆に示して欲しいが、役場の職員を何人それに張り付けるのか、そして、それにボランティアの方々にどういう協力をしていただくのかということによって人数は変わってくると思っている。役場の職員は、あくまでもそこの一つのリーダーという形になっていろんなことを采配するということになるかと考えているので、あとのところは、これまで綾町でスポーツの経験がある方もたくさんいらっしゃるし、役場のOBの方もいらっしゃる。いろんな方のご協力をいただきながら、国スポをやるとすれば、それを成功させるためにお願いをしていくということが現時点で言えること。

 町長の動向を見ていただいているかと思うが、日馬連、九州馬連とも協議をしたり、いろんな申し入れをしたりしながら、この馬術の日程についても、それからサッカー、ハンドボールについても今協議をしている最中である。

興梠 サッカーに関してだが、初日の26日──予定だが、3会場で180人体制が予定と伺っている。職員が90名。もちろん3会場に30名ずつ配置するわけではないだろうが、27日は2会場で120名とある。これも本当に、こんなに要らないと言うが、本当に可能なのかどうか、ちょっとイメージができない。

町長  昨年、鹿児島に視察に行ってきた。非常に人は少なかった。応援も子どもたち、幼稚園生、それから小学生が主体で、普通の学校の椅子に座って応援をしており、あまり職員の数というのは多いというふうに見受けられなかった。ハンドボールについても同様。

 どんどんやり方が変わってきている。だからこそどこの自治体首長も、このままではやれない、あと3年かけて新しいやり方というのを模索しなければ、この国体、過去の国体、それからこれからの国スポというのが続けられないという、そういう考え方を国も持っている。最小人数でやれる、そういうやり方をきちんと考えていきたいというふうに思っているので、ぜひ興梠議員もご協力をいただきたい。

興梠  以前にお示ししていただいた数字というのはあくまでも最大人数、多くてもこれぐらいという把握でよろしいか。

町長  何度も申し上げるが、あくまで先にやった県のその実績。これからそれを変えていこうという考え方で、それをベースに議論をすること自体がナンセンスだ。

興梠 しかし参考にしなくては、試算なり、できるかできないかという判断もできないと思うが、町長がそう言われるのであれば、何かしらの算段があるのかと思ってお尋ねしているところだが。

町長  やらなければいけない項目というのはあるが、その中でやらなくてもいいようなものも入っている。これは必要ではないのではというのもある。そういうのも含めて、じゃこれはどういう方々にお願いをするとかいうことをやっぱり今後詰めていかなければいけないということだ。今までどおりのやり方であればこの人数が出てくるということなので、それはもう全然参考にすらならないというふうに私は考えているので、新しいやり方を考えるということで、繰り返し申し上げているとおり、宮崎モデル、そして綾モデルというのをしっかりと確立して、この7,000人弱の町でもしっかりとできるんだという、やることになればそういうことを全国に示して、綾町にぜひ注目をしていただきたいと思っている。

興梠  また9月は議会もある。台風シーズンでもある。そういった災害が重なった場合、職員の対応、不備がないのかどうかということも検討しているのか。

町長  もちろんそういうことも考えている。9月は。議会の日程を変えているという先例もある。また台風、気候については、3年後の気候なんか分からない。今物凄く変化をしているわけで、その状況に併せて、そういうことが起こるときにはどういうふうな対応を取るのかというのは、これは国も、そして県も考えていかなければいけないことなので、綾町でどうのこうのということにはならないというふうに思っている。

興梠  今台風を持ち出したが、地震も当然あり得る。台風はまだ予測はできるが、地震いつ起こるか分からないので、それを国とか県の対応だとかというのはちょっと乱暴ではないか。

町長  仮定の話を今しても、あまり意味がない。そうなれば、当然地震があれば当然できないと、被害が大きければ絶対にできないというのは、これはもう分かっている話で、例えば能登半島地震みたいなものが、南海トラフが起こったとすれば、スポーツ、国スポをやっている場合ではないというのは誰でも分かる話なので、そこを今現在そういうのが起こったらどうなるんだという議論は、だから先ほどから言っているように、基本的にナンセンスだというふうに申し上げている。

興梠  その1か月国スポ期間があるわけで、そのときに、幾ら職員の配置が削減されると言っても、それなりの職員の方々のストレスはある。そのときに消防本部がどう行動できるのかとか、そういうことは想定しておかないといけないのでは。

町長  だから、今それを想定していると、想定するという段階ではないので、そういうふうなものをこの3年かけて、そういう場合にはどうするのかというのは、町だけではなくて県、そして国ということにもうなってくると思う。既に今までやっているわけで、その中で国のほうは、そういうふうなことになったらどうするかというのは多分出てきていると思うので、それについてはまだ私のほうには情報が入っていないので、それについては確認をしていきたい。

興梠  リスク管理の第一は、余裕を持つことだ。私は、趣味で自転車で長期ツーリングとか登山、1人で山に入ったりするが、そこで一番考えるのは、計画に余裕を持つこと。まず自分の力量を知ることだ。無理のない行動をすることが一番のリスク管理だと私の経験で感じいる。災害対策には一番肝心かと思うので、ぜひ配慮していただきたい。

 それから、町民からのボランティアの募集をされるということだが、これは町民と、町民の信頼関係が強くないとなかなか募集もできないと思うが、就任1年たって、町長自身の評価というのはいかがか。

町長  私はこれまで生きてきて、自分の評価というのは自分でやる話ではないと思う。他人がするものが評価だというふうに考えているので、自分自身の評価というのをするつもりはない。

興梠  評価という言葉が適切ではなかったかもしれない。ボランティアを募集してどのくらい集まるものかという見通しだ。

町長  見通しが今立てられるのか。逆に興梠議員に聞くが、危機管理というふうにおっ言われるが、私は阪神淡路大震災も経験、被災をしているし、東日本大震災も被災をして、その対策本部長もやってきた。そういう中で、今後起きてくることというのはもちろん考えなければいけないと思っているが、現時点でそれを準備するというような段階ではないというふうに繰り返し申し上げている。

 私の信頼だとかそういうことではなく、これからどんどんそういう信頼を築き上げていくというのが私の仕事だというふうに思っているし、そして、今回マラソンが10月27日にあるが、それに対しても、今協力をお願いをするということで、昨日も実行委員会のほうは公民館長会議でその協力をお願いをしますということで皆さんに協力をお願いしているという状況であり、それでどれぐらい集まるのか、そして途中経過を見ながら、じゃどこに、またさらにお願いをしようかということになってくるかというふうに思う。

興梠  ボランティアがどのくらい集まるかという見通しを聞くのは適切でなかったかもしれないが、私も議員である以上、やると決まったら全力で成功に向けて努力したいとここで明言させていただく。

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