以下はメルマガ全体の引用です。(岡田斗司夫の毎日メルマガ〜解決!ズバッと2016年3月1(火)6:00より)
http://blog.freeex.jp/archives/51478191.html
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岡田さんの力でテロを鎮めてください
—————————おはようございます。
岡田斗司夫がニコ生でお答えした『解決!ズバッと』を、毎日どんどんお届けします。
今回は『ブロマガ』会員からの質問です。
【質問】
りじゅさん/42歳/普通の会社員/ブロマガ会員
「岡田さんの力でテロを鎮めてください」
“なぜキリスト教とイスラム教は争いばかり起こしているのでしょう。
今回のパリでのテロを見ると心が痛みます。
しかし自分の様な宗教に関心の薄い日本人としては宗教で争う意義が感じられず困惑してばかりです。
そこで岡田さんにお願いです。
岡田さんにはどうにかこの対立を鎮めていただきたいのです。どんな方法で解決してくれますか?”【岡田斗司夫の回答】
頼まれれば何でも考えますけども。こういうムチャなことを聞かれた時の答え方は、似たような懸案が他になかったかを検索して考えるんだ。
■解答がない問題には極論しか出せない
キリスト教とイスラムの争いの治め方に対して解答があるはずがない。でも僕が知っている限り、この質問と1番似ていることがある。それは小学校6年の時の道徳の授業で在日韓国人差別の話があった。
在日韓国人差別はどうやればなくなるのかというクラス会があったんだけど、大阪の公立小学校の6年生だから、いくら真面目に考えても限界がある。
クラスの中に在日韓国人がいて、そいつが元気よく手を挙げて、こう言った。「韓国人差別をなくす1番簡単な方法は、在日韓国人を皆殺しにすることだと思います」
みんながビックリしたんだけど、そいつは本当に堂々と、「差別を全部無くしたいんだったら、その当事者をすべて殺すのが1番いいでしょ!」とにこやかに言った。
これは彼が在日韓国人だからこそ言えるわけだ。在日韓国人だからこそ、在日韓国人を皆殺しにすれば、少なくとも韓国人差別は全てなくなる。解決不可能な問題を解決してくれと言い出すと、こんな極論しか出てこない。
在日韓国人のクラスメートが言ったのは、「本来、解決不可能な問題で、おまけに当事者になるつもりもないのに、あれこれ言うな」ということ。それを笑いながらギャグとして言うという高度な技を見せたわけだ。
彼はその後、優秀な金貸しになった。金返さない奴らをものすごく追い詰めてるらしい。参ったなーと思った。■その国が豊かになればテロは起きない
「テロを鎮めてください」に対しては、考え方の補助線を出すにとどめさせてもらうね。
イスラムとキリストでもいいし、イスラム内の対立でもいいけど、対立構造が原因であるからには、テロを治めることができる。ただ、イスラムとキリストの価値観の差を埋めることは絶対にできない。ではどうするのか。それは、その場所でみんなが山ほど金を使うことですよね。
どこかの国で紛争や内戦やテロが起こっても、その国が金持ちになれば自然と止むわけなんだ。
結局は経済学者が言う通り、「景気良ければすべてよし」ということもないけど、8割の問題は解決してしまう。人がテロに走るのは、価値観の問題もあるし、武器が手に入りやすいこともある。でも、その国に産業があって、働いたら美味しいものが買えて、ちゃんと結婚ができれば、人はテロをやらない。
自分の人生で今まで積み上げたことの方が大事になってくるから、テロに参加しなくなるという単純な人間の損得行動なんだ。テロを鎮めるには、その国にいっていっぱいお金を使うとか、その国の名産品を買うことくらいしかできない。では今、僕らが何をするかといえば、そんなことを気にせずに、楽しく毎日を暮らすことがテロに対する力だと思っております。
ちょいと真面目になったけど、僕が言いたいのは在日韓国人の一発ギャグはすごいよなということ。あと、あいつからは金を借りてはいけないということですね。
【まとめ】
解答がない問題には極論しか出せません。ただ、その国が豊かになれば、人はテロに参加しなくなります。その国にお金を使うか、もしくは、そんなことを気にしないで楽しく毎日を暮らすことがテロに対する力だと思います。
岡田さんの社会的影響の大きさを鑑みて、申し上げておきたいと思います。
テロは、テロを実行する人たちがお金持ちになれば自然と止むわけではありません。
宗教的な問題であればなおさらです。そもそもお金は関係ないでしょう。
岡田さんは宗教的問題と経済的問題を同じ土俵で語られています。もちろん、どちらも同じ人間が関わる以上それらがまったく無関係と言うつもりは毛頭ありませんが、分けて考える必要があります。
では経済問題が解決すれば(皆がお金持ちになれば)、宗教的問題も解決されないまでも、とりあえずは無視できるようになるのか?そうではないでしょう。
(キリスト教と資本主義が中世のヨーロッパにおいて、どのように結びついて発展してきたのか、の話は別にしましょう)
また、テロを起こしている国の人たちがお金持になれば経済問題が解決するわけでもありません。
そこにたくさんのお金が入ったとして、それはそれで新たな国内の格差を生み出し、別のテロの温床となるでしょう。それが「お金」というものです。
それはお金がたくさんあるはずの、日本やアメリカ、中国の現状を考えれば理解出来るのではないでしょうか。
お金の問題ではなく、将来に対する不安がなく、安心して暮らせるかどうか、ではないですか?
また、岡田さんは「我々にできることといえば、そんなことを気にしないで楽しく毎日を暮らすことだ」と言われていますが、これも如何でしょう?
テロが、宗教的な対立や世界的な経済格差に対する不満による現地住民が起こすもの、だという視点は今更ながら少々ナイーブではないでしょうか。
先進各国の諜報機関などが裏で暗躍し、地域紛争を起こしている、というのは荒唐無稽な漫画や映画の中だけの話ではないのです。
しかし、全て「この世は増えるお金の借金というベクトルで動いている」という視点でみると、よく理解できます。
つまりテロを無くそうとするならば、私たち自身が「お金とは何なのか」ということをしっかりと理解し、お金と適切に付き合うこと以外にはない、という結論に達します。
そういう意味では経済問題が解決されればほとんどの問題が解決される、というのは間違いではないでしょう。
岡田さんは、質問に答えているようで答えていない、というのが僕の評価です。
もちろん岡田さん自身も「簡単には答えられない」と断っていますし、ご本人なりのお返事だと思います。
岡田さんの回答を見て、少しでも疑問を感じられた方の参考になれば幸いです。