4月9日15時34分配信 産経新聞
太陽活動の目安となる黒点が、今年は全く見えない日が非常に多く、活動が約100年ぶりの低水準にあることが、米航空宇宙局(NASA)の観測で分かっ た。太陽活動は約11年の周期で変動しており、現在は極小期にあるが、歴史的な低調さが次の極大期の時期や規模、地球の気候にどう影響するかが注目されて いる。
NASAによると、今年、黒点の見えない日は7日までの97日中85日で88%となり、1913年の85%を上回っている。昨年は73%だった。衛星観 測では、前回の極小期の90年代半ばに比べ、太陽の可視光の放射は0・02%減少し、紫外光は6%減少。電波の強さと、太陽から吹き出す電離した粒子「太 陽風」の圧力は、ともに約50年間で最低水準だ。
17世紀後半から18世紀初めにかけては、「マウンダー極小期」と呼ばれる黒点がほとんど観測されない時期が長く続いた。欧州などの寒冷化を招いたとの 見方もあるが、科学的な因果関係は不明。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2007年に公表した第4次報告書では、太陽活動も検討対象に 加えられたが、どの程度の影響があるかの研究はまだ進んでいない。
衛星「ひので」で太陽観測を続ける国立天文台の常田佐久教授は「過去2回の極小期に比べ、太陽の(エネルギーの)全放射量が少ない。戦後、近代的な観測 が始まって以来、起きたことがない事態になっている」と指摘。しかし、「気候への影響は諸説あって混沌(こんとん)としている。マウンダー極小期のような ことにはならず、太陽活動は上がっていくが、低いレベルにとどまるだろう」と話している。