http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44481
現代を代表する投資家の、「良心的な」インタビュー記事です。
記事自体は時限的に削除される可能性があるので、興味がある方は保存をお勧めします。
8月4日に、平和台「ひむか村の宝箱」10周年感謝祭にて、「21世紀の経済論vol.35」としてお話をさせていただきました。
たくさんの方に聞いていただき、また環境活動家の松本英輝さん(英輝さんは世界中を自転車で旅行され、その経験を多くの大学で講師として生かされています。僕が今自転車生活にシフトしたのは、英輝さんの影響もあります)とも、たくさんの意見交換をいただきました。(「学校をつくろう!」ということで盛り上がりました(^_-)
それを聞かれた方は、振に落ちることも多いかと思います。
ギリシャは問題を先延ばしにしているだけで、展望はないのですから。3155億ユーロ(約43兆円)にまで膨れ上がった債務の返済が、不可能なことは明らかです。
これはギリシャに限った話ではありません。日本は、視点を変えればギリシャより危険なのです。基軸通貨ドルを持つアメリカも然り。
ヨーロッパ全体で見ると、経済は回復基調にあります。日本も同じですが、紙幣をジャブジャブ刷って市場に流していますからね。そのカネを得ることができた人たちは、経済は良くなっていると感じています。
しかし、覚えていて欲しいのは、これは「人為的に操作された好況」なのだということ。ヨーロッパの国々の借金は、いまも増え続けている。それで見せかけの景気が良くなったとしても、そんな夢みたいな状況は長くは続きませんよ。
本当の意味でヨーロッパ経済を回復させるには、金融緩和に頼っていてはいけない。緩和策を止めて、ほとんどゼロにまで下がった金利を適切なレベルに上げることです。
ヨーロッパは、ここ数年、緊縮政策を主張していますが、どの国も今は前年より多くの負債を抱えていて、負債はこの先、もっと増えていくことが見込まれます。緊縮政策など機能しないのは目に見えています。日本の方ならよくお分かりになるのではないですか?
これはアベノミクスのことを言われています。
アベノミクスは、滞ったお金の流れを強制的に促そうというものです。そのためにお金をじゃんじゃん刷ればいいではないか、というのが基本的な発想です。
しかし、それは将来的な借金を増やしているだけにしか過ぎません。
アメリカでも同様の構造が既に破綻寸前にまで行っています。
次にアメリカ経済についてです。株式市場を見ると、アメリカ経済は絶好調です。日本の株価高が、アメリカに牽引されたものなのは周知の通り。しかしそれも、カネをどんどん刷ってきたからにすぎません。
’08年のリーマン・ショック以降、アメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)はカネを刷り続けました。そしてそのカネの恩恵に与った人たちの生活は、どんどん良くなっている。ですが、これも同様に「人為的に作られた良い時間」なのです。
アメリカの金利が歴史上、ここまで低かったことはありません。この低金利政策によって、将来のために貯金してきた人たち、投資してきた人たちを苦しめています。年金制度、保険会社や信託会社……多くの会社も苦境に追いやられています。
一方で、多額の借金をしたり、本来なら買えないような不動産を購入する人が出てきています。サブプライムローン危機で痛い目を見たにもかかわらず、アメリカでは、そんな馬鹿げたことがいまだ続けられているのです。近い将来、深刻な事態を招くでしょう。
2016年か’17年には、アメリカに何かしらの経済的な危機が起こると予測されます。そしてアメリカに訪れた危機が、世界第2位の経済大国にのし上がった中国を巻き込んでいくことは間違いありません。
マスコミはこういうことは取り上げません。と言ってマスコミだけを責めるのは酷というものです。
なぜなら、私たちがそれを望んでいないからです。視聴者が興味のないものに、どうしてマスコミが時間やお金を使うでしょうか?
また、経済的な危機が起こったとしても、21世紀の経済論でお話しているように、私たちが貨幣経済による思考の呪いから解放されていれば、その影響は最低限で済みます。
むしろ、その後に来る「世界的な戦争の足音」に気をつけるべきです。
しかし、私は中国の株式市場はバブルではないと考えています。急速に株価が上昇したものの、バブルには至らなかった。中国政府が株価をコントロールしようと露骨な市場介入を見せたために、市場がそれを怖がった。株価下落が起きたのはそのせいです。
そしてアメリカや中国の経済に危機が訪れれば、当然、日本も致命的な打撃を受けます。日本にとってアメリカと中国は最大の貿易相手国なわけですから。だからこのような危機の連鎖が起こることを覚悟し、それを前提として物事を考えておく必要があるのです。
彼は中国は安全だ、と言っていますがそれも「比較的」と言う意味です。アメリカや日本よりはましだ、と。
そしてここで思い出していただきたいのは、過去2度起こった世界大戦です。
どちらとも、世界的な恐慌が直接の引き金となっています。
今の日本におけるきな臭い雰囲気に、私たちはもっと敏感になっておかなければいけません。闇雲に軍備強化を謳う考えは、とても危険なものです。
そして彼は現在の日本をこう評します。
それでは、日本経済の本当の評価をお話ししましょう。冒頭に述べた通り、私はいまも日本株を買い増しています。日経平均は3万円まで上がると述べましたが、それどころか、過去最高の4万円の大台に乗る可能性すらあると考えているのです。アベノミクスは、私のような投資家には最高の政策ですよ。
安倍晋三総理がやっているのは、つまるところ紙幣を刷って刷って、金融緩和と財政出動を続けること。そのカネを得られた人はとてもハッピーです。とりわけ喜んでいるのは、ストックブローカー(株式仲買人)と、私たち投資家です。
アベノミクスによる円安が、一体誰を幸せにしているのか考えたほうが良い。’13年以降の極端な円安誘導によって、円の価値はドルに対して半分になってしまいました。
自らの通貨の価値を下げる政策は、かならずしっぺ返しを喰らいます。結局、一部の大企業や投資家に利益のあることをしているだけ。日本そのものは破滅に向かっているのです。
財政出動を続ければ、いまでさえ1000兆円を超える日本の借金はどんどん膨らむ。紙幣価値は破壊され、多くの一般市民がインフレによる生活費の増大に苦しみ、さまざまな支払いが不可能になって、生活は困窮していく。ゆくゆくはギリシャのようになってしまうでしょう。
いち投資家の立場を離れて言えば、安倍総理に一刻も早く退陣してもらうことが、日本が立ち直る最良の解決策です。しかし、安倍総理の様子を見る限り、そんなつもりはないでしょう。安倍総理が紙幣増刷を止め、バランスの取れた予算を組むこと。そして、人口減少・少子高齢化への解決策を打ち出すことを願うしかありませんね。
日本のネガティブな課題で最も注視されるのが、人口減少問題です。この先、人口減少が進んでいけば、日本人の生活水準は落ちていく一方です。対策としては、二通りしかありません。子供を増やすか、移民を受け入れるかのどちらかです。
しかし現在でも、衣料であれ食料品であれ、物価が上がって、結婚して子育てを考えるような経済的余裕がない若者が増えている。さらに日本人の移民受け入れに対する消極的な態度は、日本人の「外国人嫌い」を顕著に示しています。
株価が上がり、それに舞い上がる人々がいる一方で、人口減少に歯止めがかからず、借金は膨らむばかり。日本の若い人に言えることがあるとすれば、「外国語を覚え、日本株を持って、国外に逃げ出したほうがいい」ということですね。
いまから10年、20年経って日本人の皆さんは気づくでしょう。「安倍総理が日本を滅ぼした」と。
如何でしょうか?
僕が日頃から主張していることと、まったく同じことを言われています。
唯一違う点は、僕なら「英語なんか勉強しているヒマがあったら、日本語をキチンと使って自分の頭で考え行動することに専念するべし。
株やお金は、いざとなれば何の役にも立たない。特に天変地異の時は。
国外に逃げるという発想こそ、自己中的であり誰でもできるわけではない。運命を唯々諾々と受け入れることは愚かなことだが、やるべきことをやって後は座して待つという姿勢も大事」です(^_-)
ぜひ「21世紀の経済論」にご参加ください。