藻谷浩介 in 串間市市木

4月16日の日南市役所に続き、6月3日、またまた藻谷浩介さんの講演会に出かけてきました。
藻谷さんの講演会は、えびの2回、日南と、今回で4回目となります。
毎回、場所や聴衆に合わせて公演内容を変えられる藻谷さんです。今回は宮崎の中でも過疎化の進む串間市、中でも僻地にある市木集落の公民館、ということでこれまでより講演者と聴講者の距離がぐっと近くなるので、一体どんなお話が聞けるのか、楽しみでした。

前回、串間に行ったのは5年前。3.11より前、新燃岳が噴火する直前でした。
当時串間市では、原発誘致が長年議論されており、いよいよ市長が受民投票を実施する、という段階に入っていました。
世論は真っ二つに分かれていましたが、賛成派が若干優勢か、という状況でした。
そこで、住民主催の討論会が開かれる、ということになり、僕も参加することにしました。

当時は福島原発事故後の現在とはまったく情勢が違い、原発に関しての世間はほぼ無関心、串間の問題になぜ市外の人間が首を突っ込むのか、くらいの反応でした。
もちろん今では原発立地の自治体だけでなく、周辺の自治体にも事故があれば重大な影響がある、ということは周知のことだと思いますが、残念ながら実際に事故が起きなければ、そこまで想像をする人は本当に少なかった、ということです。
結局、福島原発事故を受け、直前になって住民投票は白紙撤回されてしまいました。
(その頃、串間市の良心として、誰でも参加できる掲示板が市役所ホームページにあり、原発に関しても活発な議論がなされていました。今は無くなってしまいましたが、ログはどうなったのでしょうか)

さて、前回と同じく、自転車で大戸野越で串間を目指しました。

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しかし、前夜から強い雨風が。結構、くじけそうになりました(笑)
が、今回は今までの講演会とはちょっと違うものになりそうだ、という予感が働きました。
予報をみると、前日の梅雨入り宣言通りのはっきりした梅雨前線が九州の上にありますが、どうやら時間と共に南下しそうな気配。
午後には雨脚は弱まる、と判断し10時に出立。

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田野町のくろきストアーで小休止。11時半。

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大戸野越手前の駐車場で、自宅から握ってきたおにぎりを頬張る。登りではしっかり汗をかいたけど、上は思った以上に肌寒い。まくっていた雨具の袖を下ろしました。

予想通り、きつい峠では小雨で雷にも会うことなく、まあまあ順調な行程でした。向かい風以外は。
ところが、この後日南の街中に近づくにつれ雨が強くなり、ホントーに久しぶりの土砂降りの中、自転車を漕ぐハメに(笑)
たまには面白い(^_-)ワザと水たまりに向かって行く小学生の気分です(笑)

途中、道迷いもありましたが、16時に会場である市木集落公民館に無事到着。

ここで、今回の主催者ネジこと渡邊健太くんと初めてお会いしました。
年間の講演回数が400近くにもなる藻谷さんの予定を、4月16日の日南講演からすぐに取り付けた、只者じゃありません。彼に会うことも、今回の楽しみの一つでした。
事前のやりとりでお手伝いすることになっていたので、駐車場誘導係をさせていただきました。
(ここでも、実は綾に移住してたかもしれない?木工作家の水ピーくんや、友人の友人ぐっち、ジュンコさんや歩さんといった新しいご縁もいただきました)

さて、当の藻谷さんは講演開始直前の会場入り。
なんと、三郷町南郷での講演会後ご自身の運転で来られたのです。(宮崎の方ならお分かりでしょうが、どれだけ遠いところか。しかも北の僻地から南の僻地へ(^^ゞ

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講演会の内容は、里山資本主義を中心とするもので、串間市の人口動態から今後の人口減少予測を示しながら(全て総務省発表の資料をもとにしたもの)、東京や福岡の「ヤバさ」に比べればまだ串間は出来ることがある、というお話でした。
具体的には、都会に比べて高齢者が占める比率は比較的低いので、医療費負担は年を追うに連れ低下するはずで、浮いた分を子育て支援など、女性が産みやすい環境作りに当てるべし、ということです。
加えて、地元に若い人を止めておくためには、地元のお金を外に出さずに地元で回す意識で使うこと。そのことで雇用を生み出すこと。ということは、突き詰めて考えれば地元で食料からエネルギーまである程度自給を目指せば、贅沢さえ言わなければ結構幸せな暮らしができる、ということです。

「幸せな暮らし」とは一体なんでしょうか。
「幸せではない暮らし」とは?
よく考えてみると、不平不満、将来に対する不安が大きければ大きいほど「幸せではない」と感じるのではありませんか?
だとすれば、それらを減らせばいいだけの話。
自分が抱えている不平や不満は、果たして他の人も自分に対して感じていることではないでしょうか。
そうである場合はお互い様。自分からそれを改めない限り、決して消えることはないでしょう。
そうでない場合、例えば世の理不尽に対する憤りなんかは、いろいろと小さいなことでもいいから、自分に出来ることがきっとあるはず。それを諦めずにコツコツと実践すればいい。
諦めずに持続していけば、必ず結果は出てきます。
将来に対する不安の大きなものは、経済的なことではありませんか?お金のことではありませんか?
だから地方創生とは都会から人やお金を持ってくること、と思っていませんか?

都会の人は、大金を払ってでも、忙しい時間を無理矢理都合してでも、田舎にやって来るのですよ。
なぜでしょうか。
人々が真に求めるものが、田舎にこそあるからです。
きれいな空気、水、安心安全で美味しい食料があるからです。
それらは田舎に住む人たちは、タダ同然で毎日手に入れているわけです。
果たして本当に「豊か」なのは、都会でしょうか?地方でしょうか?

そう考えることができれば、(あなたが田舎に暮らしていれば)将来に対する不安の大部分は解消されるはずです。

最後の挨拶で、ネジくんが「この講演会で、参加された皆さんに少しでも安心してもらいたかった」と言われていましたが、まさしくそれこそ藻谷さんがおっしゃりたいことだと思います。

地方創生とは、実は地方に住む私たちの「発想の転換、価値観の転換」なのです。
経済をお金の流れで捉えるのではなく、実際の物流、人と人とのコミュニケーションで捉えることが、これから「幸せな暮らし」を求めていく上で肝心になってきます。

もうひとつ、“只者ではない”ネジくんの言葉を。
「藻谷さんを決して信用しないでください」
すかさず藻谷さん自身も「そのとおりです」と答えられていました。

今回の藻谷さんは、とてもリラックスしてお話しされていたなあ、という印象でした。
現場主義を標榜される方ですから、聴衆と距離が近いことが嬉しかったのでしょう。

自分自身で考えることが大切です。
考えて考えて袋小路にぶつかったら、前提を疑ってみることです。
考えるときに、迷ったときにひとつアドバイスを。
「もし自分と同じ考え、行動をする人間が社会の大半を占めるようになったら、その社会は果たして幸福なのか?自分は不快と感じないか?」ということを想像してみてください。
決して、自己中ばかりの社会にしないように、みんなで気をつけましょう。

200名近く集まった今回の講演会、内容ももちろんですが、会場の雰囲気がとても気持ちよかったです。
ネジくんは、はじめての大きなイベント、ということでテンパってたということですが、その陰で、会場付近はお店がなく、終了時間も遅くなるからお腹を空かす人もいるだろうと、地元のやはり移住者が作っているマフィンを自腹で買い付け、無料で配っていました。
なかなか出来ることではありません。
そんな気配りは、その場にいる人たちに言葉がなくとも伝わるものです。

みんなで会場の片付けを済ませ、交流会会場であるネジ家へ。
彼が8万円で手にいれたという、土地付き蔵付き古民家。ここの立派な梁は、僕が欲しいくらいです(笑)

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ビールを片手に、皆皆で乾杯!
今宵の肴は、串間どれのバイ貝と牡蠣が大量に!更に美味しいカレーも!
オナカイッパイ、でした(^_-)

(この後、夜なべ談義は朝方まで続くのでした。次の日は土砂降りツーリングの穴埋に、貴重な梅雨の晴れ間を復路は楽しもう!と思っていたのですが、おかげであえなく撃沈(笑)4時に寝て8時過ぎに起き出し、またまた語り出す男達(。・_・。)ノ男子学生の下宿のような男臭さがプンプンという人も・・・
結局、ドピーカンの青空の下、宮崎市内に住むSさんの車で綾まで送ってもらいました。Sさん、熱くなりがちな説教?の仲立ち含め、ありがとうございました(^_-)

最後に藻谷さん、主催者のネジくん、奥様のみなみさん、子供達、いろいろとお手伝いされたボランティアの方々、あの場を共有された方々、とても幸せな時間を過ごさせていただきました。
お礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。

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