「進撃の巨人」のニヒリズム

カジノについて/内田樹の研究室

内田樹さんが新しく記事を投稿されていました。
カジノについて、朝日新聞のインタビュー記事です。カジノの話題にとどまらず、なぜ今カジノが話題に上がるのか、それは何から由来するのか、というところまで考察されています。

最近、「進撃の巨人」という漫画が流行っています。
この漫画、設定からして驚かされる。ある日突然どこからともなく巨人が現れ、人間を食うのですから。そのことによって、人類は滅亡の危機にさらされている。
そんな「全く自分一人では太刀打ち出来ない不条理」になぜ若者は熱中するのか、しばらく理解出来ませんでした。

しかし、よく考えてみると、“バブル世代”である僕が感じる「世の中の不条理」と彼らが今現在受け止めざるを得ない「不条理」は違ってきているのです。
僕らが感じる不条理は、ある程度の「恩恵」を受けた上でのものですが、彼らはそれらが全くない。
生まれた時から平成不況があり、自分は全く関わる機会も与えられずに原発事故諸々を含めた「現在」がある。
確かに「無力感」を感じても当たり前でしょう。

ちなみに僕はバブルの80年代よ再び、とは全く思いません。
あんな狂気に日本が踊った時代のどこがいいのか。
アベノミクスは、まさしくそのバブルを投資家に成り代わって政治が起こそうとしているものです。逆を言えば、バブルが起きなければアベノミクスは失敗です。
が、バブルが起きても必ず、弾けます。それは必定です。
金融市場と全く関係ない僕は、「そんなギャンブル」に巻き込まれるのはごめんです。

そしてギャンブルとは、「胴元」と「カモ」が居て初めて成り立つのです。
そこには一切の「創造」はありません。

「進撃の巨人」現象は、内田さんのいわれる「ニヒリズム」が蔓延している、ということでしょう。もちろん、ニヒリズムはいつの時代でもある程度存在してきたのですが、それが若い世代でより深刻になっているのです。

「為政者の本務は『経世済民』、世を治め、民を済うことです。首相は営利企業の経営者じゃないし、国家は金儲けのためにあるんじゃない。福島の原発事故対策、震災復興、沖縄の基地問題の解決の方がはるかに優先順位の高い国民的課題でしょう。厳しい現実に目を背け、なぜ金儲けの話ばかりするのか」

「『決められない政治』というのは政治家の個人的資質の問題ではなく、グローバル化によって、ある政策の適否を決定するファクターが増え過ぎて、誰も予測できなくなったので『決められなくなった』というシステムそのものの複雑化の帰結なのです。何が適切であるかは、もうわからない。せいぜい『これだけはやめておいた方がいい』という政策を選りのけるくらいしかできない」

 ――私たちは政治とどう向き合ったらいいのでしょう。
 「民主制のもとでは、失政は誰のせいにもできません。民主制より金が大事という判断を下して安倍政権を支持した人たちは、その責任をとるほかない。もちろん、どれほど安倍政権が失政を重ねても、支持者は『反政府的な勢力』が安倍さんのめざしていた『正しい政策』の実現を妨害したから、こんなことになった。責任は妨害した連中にあるというような言い訳を用意することでしょう。そんな人たちに理屈を言って聞かせるのはほとんど徒労ですけれど、それでも『金より大切なものがある。それは民の安寧である』ということは、飽きるほど言い続ける必要があります」

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