現役世代の政治観〜自民党以外にないと考える人たち

先日、若い友人(30代半ば)と酒を交わす機会がありました。その際彼はモリカケ問題に触れ、「あれくらいのことは、些細なこと」と言いました。「それよりも自民党以外にどこに投票するのだ?」とも。

ネット上でのツイートやフェイスブックを眺めていて感じる「世論」はこんな感じだろう、という私の想像とあまり違わない発言でした。

一連の森友学園、加計学園問題はほんとうに些細なことでしょうか?

金額の大小はこの際置いておきましょう。私が問題だと思うのはお金の話だけではありません。
一連の国会でのやり取りを見ていて、安倍総理を含め関係者が信用に足る人物なのか、この国の今後を託すことのできる人物なのか、その資質を疑わざるをえない。
そこが一番の問題でしょう。

まして、「あれくらいは些細なこと」「自民党以外にない」と考える「無責任さ」にも、友人ながら残念に思いました。
それは裏を返せば、自分で考えていないということだからです。

彼は「例えば共産党の主張はたしかに理想的。しかし現実的ではない。現実を考えれば、自民党の他にいない」と言います。
現実とは何か。
その話題は「21世紀の経済論」の根幹でもありますが、決して「お金の話」ではありません。
現実とは、我々人類が持続可能的にできるだけ長期間(7世代以上に渡って)生存していくために必要なものとは、「きれいな水」「きれいな空気」「安心安全な食べ物」「隣人(隣国)との信用信頼」である、ということです。
現実とは、その「ほんとうに必要なもの」を「お金を増やすこと」に囚われているがために、我々自身の手で壊している、ということです。

そのことを本当に理解している人は、実に少ない。
「お前の言うことはわかるが」と言いつつ、自民党に投票する人は後を絶ちません。

なぜなら、「自民党こそが私のお金を増やしてくれる」と思っているからです。

結構。では、冒頭のような人物をどうして信用できるのでしょうか?どうしてその人たちが私たちの希望を叶えてくれると、思えるのでしょうか?
彼(彼ら)はそんなことまでは考えていません。

よろしい。では、アベノミクスが実効的と思えるからでしょうか?
確かに、資本主義に則ればアベノミクスも間違いではありません。これまでは。しかし、金融危機、具体的には通貨危機の危険性が非常に高まっている現状では、「お金で考える経済」では行き詰まることは目に見えています。そのことは、数年前から「21世紀の経済論」で指摘してきたとおりです。
実際にアベノミクスの効果は、政府は景気回復の証左として様々な数字を取り上げるものの、私たちの身の回りの経済は一向に明るくならない。それどころか、今後増税ともなれば一層景気は冷え込んでしまうのは明らかです。
一般的には、収入が増えなければ投資にお金は回せません。増税して景気が良くなる、インフレになるわけがない。国民の所得(賃金)上がってはじめて増税は可能になるはずです。

当初、アベノミクスを評価し安倍さんに助言したノーベル賞学者のクルーグマン氏も現在ではその行くすえを案じています。

異次元緩和は失敗だった。クルーグマンの『Rethinking Japan』を読む=吉田繁治

アベノミクスの目的は、だぶついたお金を市中に流通させるために、更にお金を増やす、というものです。ところが目論見通りにはいかず、むしろ傷口を広げています。例えるならば、血管が詰まっているので強引に血液を流そうとしたけれど、末端まで行き渡らず心臓付近に溜まっているだけ、という状態です。それが格差の拡大です。そして、その「膨れ上がった血管」はいつ破裂してもおかしくないのです。
低所得者が増えれば、それは相対的な人口消費(実際にお金を使う人の数、あるいは一人当たりの金額)は減ることになります。中流層が次第に低所得者になれば、当然その人が使うお金は減ります。逆に中流層から高所得者になる人(もちろん低所得者になる人より圧倒的に少ない)は多少使うお金は増えるでしょうが、一人が使うお金の量はしれています。多くの人たちが将来に不安なくお金を使ってはじめて、景気も良くなり、インフレにもなるのです。
消費税は逆の発想で、広く浅く税金を徴収しようというものです。それは一人の富裕者から取り立てるのは「たかがしれている」と考えられているからです。政府のお役人さんは、取り立てることにはこのように考えるのに、実際の消費についてはこのようにはお考えにならないようです。消費が減れば、税収が減るのは当たり前なのですが。
そしてそれが難しくなれば消費税を上げざるをえない、と言い出す始末です。何を言っているのだか。
雇用の改善もアベノミクスの効果とは言えず、むしろ少子高齢化の結果であることの方が大きいと思われますし、賃金はいまだ低いままです。
加えて、ここにきて政府は低所得者層への補助を減額する方針を発表しました。

生活保護見直し案
最大13%減 母子加算2割カットも

記事では

生活保護の生活費は最低限度の生活を営むのに必要な水準が支給され、生活保護を受けていない低所得世帯と同じ生活水準になるよう算出。5年に1度見直している。

と紹介されていますが、今の日本ではむしろ低所得者の生活水準を高めることが重要です。下がってきた「水準」に合わせてインフレ目標を達成しようという矛盾には気づいていないようです。

百歩譲って、そのようにするのであれば、デフレこそ容認すべきなのです。

また、税金とは所得の再分配機能以外には意味がない、と言っても過言ではありません。つまり政府とは所得を再分配する機関である。格差を増大させるような政府は本来の政府とは言えないのです。格差が増大すれば、景気が落ち込むのは必定だからです。

他にもアベノミクスについては素人でもツッコミどころがたくさんあるのですが(勉強会では紹介しています)、ここでは置いておきましょう。

アベノミクスが本当に「私たちの希望を叶えてくれるのか?」否と私は答えます。

自民党に積極的に、あるいは消極的に支持する人たちは、一言で言えば自分たちのことを自分で考えていない。全体的に考えているようで、考えていない。
それを一概に批判するつもりはありません。
日々の生活(お金を増やすこと)に追われ、そんな余裕はない、というのが「現実」でしょうから。
しかしその結果、自分のみならず、自分の子供、孫はどうなるのか。それくらいは想像力をできる限り働かせていただきたい、と思うのです。

現実とは何か。今一度よくよくお考えいただきたいものです。

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